So-net無料ブログ作成

感想@映画「マスカレード・ホテル」ネタバレあり [映画・舞台]

映画「マスカレード・ホテル」の感想です。

http://masquerade-hotel.jp/
05masquarade.jpg
木村拓哉 長澤まさみ
小日向文世 梶原 善 泉澤祐希 東根作寿英 石川 恋
濱田 岳 前田敦子 笹野高史 髙嶋政宏 菜々緒
生瀬勝久 宇梶剛士 橋本マナミ 田口浩正 勝地 涼 松たか子
鶴見辰吾 篠井英介 石橋 凌 渡部篤郎

原作:東野圭吾著「マスカレードホテル」

マスカレード・ホテル (集英社文庫)

マスカレード・ホテル (集英社文庫)

  • 作者: 東野 圭吾
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2014/07/18
  • メディア: 文庫

原作の小説は未読です。
下記にはネタバレを含みます。



去年観た「検察側の罪人」での木村拓哉さんの演技が良かったのと、
以前はよく東野圭吾氏の作品を読んでいたことから、
封切を楽しみにしていました映画「マスカレード・ホテル」!
期待通り、面白かったです。
二時間強の上映時間が、あっという間に過ぎました。


まずは、映画館から帰宅した直後に投稿した私のツイートを転載します。

先に書きますが、
友情出演として出ていたらしい明石家さんまさんについては、
全く気付きませんでした。
クレジットでお名前を見てようやく
「そういえばネットで騒がれていたなぁ」と思い出したぐらいです。
さんまさんのお名前が出た瞬間、
客席がざわついたのが凄かったです。


作品の感想としては、上記のツイートでほぼ語ったようなものなのですが、
さすがにちょっと足りないので、補足を交えて書いていきます。

失礼ながら、
以前は「何を演じてもキムタク」という部分があった木村拓哉さん。
私もこのような感想を、彼が主演のドラマ感想で書いた記憶があります。
でも、その概念が一気に覆されたのが、
去年公開された映画「検察側の罪人」でした。
木村さんが格好良くて素敵なのは相変わらずでしたが、
年を重ねられて中年のおじさん(言葉が悪くてすみません)になられたことで、
若い頃には出なかった年齢特有の深みが
言動に滲むようになったと強く感じました。

それは、この映画「マスカレード・ホテル」でも同じでした。
予告映像で、ホテルのフロントマンとしてパリッとしている
(短めの髪の毛をきちんと整えている)
新田浩介に見慣れていたのもあって、
最初に出てきた木村さん演じる彼の風貌を観た時は
そのワイルドさにドキドキしました!
こういう木村さんも観たいなぁと興奮しました。
味がある渋みが素敵でした。

その、刑事としての考え(犯人逮捕)を第一としていた新田の変化が、
この作品の主軸であり、大きな魅力でした。
新田が潜入捜査を始めた当初は、
「どう見てもホテルマンじゃない」
「フロント係のコスプレをした目つきの悪い男」だったのが、
彼の考え方が徐々に改まっていくにつれて、
客と対面する時はホテルマンに見えるようになっていたのが
良かったです。

そこが一番よく表れていたのは、やはり終盤でしょう。
真犯人に捕えられたと思しき山岸尚美(長澤まさみさん)を助けるべく、
新田は広いホテル内を走りまわり、単独で捜索するのですが、
犯人が潜んでいるかもしれない部屋のドアを開ける際に
いちいち呼び鈴を押し、ドアをノックしてからそうしていきます。
廊下でベルボーイに案内されている客と遭遇した時には、
きちんと客がいる方を向いて一礼していました。
以前の新田だったら、犯人逮捕(人質救出)を最優先として、
呼び鈴やらノックやら一礼やらは省いたはずです。
あと一歩遅ければ山岸さんが殺されていた結果を踏まえると、
(こういうギリギリの部分が
映像作品ならではのエンタメであると理解していますが)
ホテルマンとしての手順をいちいち踏む新田に
ひやひやさせられたものの、
不快な思いは全くしませんでした。
まだ潜入捜査中で刑事兼ホテルマンの彼ならではの行動だと
心から納得できたので、
苛々することなく見守ることができました。
刑事として最善を尽くしつつも
ホテルマンとしての顔も忘れないというのが新田の成長の証だと、
強く伝わってきました。



長澤まさみさんも、ヒロインのフロント係を魅力的に演じていました。
「客がルールだからこそルール違反はあり得ない」という信念が
筋として一本きちんと通っていたので、
新田との区別がよく表れていましたし、
山岸さんの長所として好意的に受け止められました。
「私も一度でいいからこんな接客を受けてみたい」と、自然に思えました。
また、相手に感化されたのが新田だけでなく山岸さんも同じで、
終盤、彼の提案を呑んで一日だけ公表を控える決断をしたのも
大変良かったです。
実は総支配人も知っていたというオチも、
彼女の救済になっていてホッとしました。
こういう完璧な人間の失敗は
描き方を間違えると嫌味っぽくなることが多いのですが、
この作品では、ストーカー対策で大きな勘違いをした一件も含めて
山岸尚美という一人の女性の親しみやすさに繋がっていたように
思えました。
山岸さんに対して新田がぼそっと発した
「これだけの数の客を相手にしているのだから
ミスをしないはずがない」云々の言葉は、
まさに正論であり、山岸さんへの優しさでもあって、
私の心にも強く響きました。



木村さんと松たか子さんの共演は、
「HERO」ファンの私にはたまらなかったです!
勿論、「HERO」を感じさせない今回の配役の妙も。



ただ、ちょっと引っかかった部分が幾つかありました。
上記の通り、私は原作を未読なので、
この映画がどこまで原作通りに作られているかが分からず、
その程度によっては、映画への不満というより
原作小説に対するいちゃもんになってしまうかもしれませんが……。

まず、エンタメ作品として非常に面白かったものの、
本来の主軸でなければならないはずのミステリが
とても弱かった点が気になりました。
それはやはり、新田がホテルマンとして奮闘する姿が
事実上のメインであるというのが原因でしょう。
潜入捜査である以上、これに尺を長く割いたのは間違っておらず、
実際、本当に観ていて楽しく、引き込まれますので、
失敗とは言えないのですが、
ちょいちょい挟まれる本来のミステリ部分(予告殺人の捜査)が
おまけ要素になっていたのが、
大変勿体なかったです。

「連続殺人であるかのように見せかけた」という真犯人の狙いも、
まるで取ってつけたようだというか、
作中で説明はあったもののどう見ても蛇足であまり意味が無かったのも、
ちょっとイマイチでした。

そして、新田が山岸さんとの会話で捜査のヒントを得ることが
何回も起こったのには、
「またこれか」と思ってしまいました。
こういったことはミステリの定番の展開ですが、
一つの作品で何度も起こると飽きますし、
「都合がよすぎww」とツッコミを入れずにはいられず、
せっかく作品の世界に浸れていたのに現実に引き戻されたのが
残念でなりませんでした。

それと、これは個人の好みでしょうが、
作中の時間では殺人が一件も起こらないのも、
ミステリ要素が薄いと感じる起因であると思いました。
この作品のあらすじは、
過去三件の殺人事件に関連性があると発見される
→次の殺人が高級ホテルで行われるかもしれない
→潜入捜査をして殺人を未然に防ごう
という流れなので、
描かれる時間の前に殺人事件が発生しているものの、
新田の活躍によりホテルでの殺人(山岸さんの殺害)を防げたので、
作中では一度も殺人が無いんです。
これも、本来ミステリ作品にはあって当然の緊迫感が薄れ、
「刑事の偽装ホテルマン奮闘記」になってしまった原因だと
私には感じられました。
とはいえ、「新参者」に代表されるように、
人情味あふれるミステリは、東野圭吾さんの醍醐味です。
彼ならではのミステリだと思えば、
これは大きな個性なのかもしれません。


トラブルメイカーの客の一人である
目が不自由な老婆については、
落としたボタンが不自然に見つかった点で
「これ、山岸さんが床に這いつくばるのを見たかっただけじゃないの?」と
想像してしまったことと、
翌朝のチェックアウト時に彼女の口から明かされた真相に対して
違和感を覚えた(ちょっと無理があると感じられた)ので、
他の客の問題が生じてからももやもやしていました。

あと、勝地涼さん演じる男性は、
どうして女装をする必要があったんでしょうか。
新郎新婦を警戒させないためですか?
ただ、あそこで山岸さんが彼を不審に思わないと
その後の騒動が始まらないので、
きっかけであったとは分かるのですが、
唐突さは否めないです。



……と、長く書いてしまいましたが、
娯楽作品としては間違いなく上質だと思います。
ホテルのロビーのきらびやかな内装を見るだけでも楽しいので、
お勧めします。


マスカレード・イブ (集英社文庫)マスカレード・ナイトマスカレード・ホテル (集英社文庫)歪笑小説 (集英社文庫)夢幻花 (PHP文芸文庫)映画「マスカレード・ホテル」オリジナルサウンドトラック





2019-02-07 10:18  nice!(0) 
共通テーマ:映画

nice! 0