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感想@映画「食堂かたつむり」*ネタバレあり [映画・舞台]

映画「食堂かたつむり」をDVDで観ましたので、
感想を記します。

食堂かたつむり スタンダード・エディション [DVD]

食堂かたつむり スタンダード・エディション [DVD]

  • 出版社/メーカー: ミコット・エンド・バサラ
  • メディア: DVD

主なキャストさんはこちら(敬称略)
倫子:柴咲コウ/佐々木麻緒
ルリコ :余貴美子
熊さん:ブラザートム
根岸恒夫(ネオコン):田中哲司
シュウ先輩:三浦友和


以下の記述にはネタバレを含みます。


————

近頃は落ち着いたような気がしますが、
この映画の公開当時はまだ、
食事系作品が流行っていた頃ですよね。
私も、“かもめ食堂”や“南極料理人”が
好きでしたので、
http://himezakura.blog.so-net.ne.jp/2012-04-13
この“食堂かたつむり”も気にしていました。

いやぁ……見て、びっくり。
私が思い描いていたものと全然違いました。
更に言えば、私が「見たい」と思う内容ではなかったです。

まず、“食堂かたつむり”というタイトルから、
この話は、主人公が開業する個人レストランでの出来事がメインで、
そこを訪れるお客さんとの暖かい話で感動できるのかなと
誰もが想像すると思うのですが、違います。
確かに、
主人公の倫子(柴咲コウ)が作る料理を食べたお客さんには
幸せなことが起きましたが、
その幸福が料理に起因しているとはとても思いにくい上に、
物語の前半を彩るだけの薄っぺらさしかありません。
ぶっちゃけ、それを食べなくても
お客さんは幸せになれたと思えますし、
願いごとが叶う“ジュテームスープ”を求めて
若い女性が何人も押しかけるという設定は、
ちょっと強引すぎるというか、都合が良すぎます。
また、倫子の
“一日に一組しかお客さんを受けない”という設定は、
映画の予告でこそ良い宣伝文句になっていましたが、
実際の作品では全く生かされていません。
何より、この作品は、
料理を通したヒューマンドラマでなく、
子供の頃から母ルリコを嫌っていた倫子が、
彼女の死を経て、実は自分が愛されていたことを知り、
自分も彼女が好きだったというのを再確認する話なんです。
食堂云々は、あくまでおまけです。
なので、食堂でのほんわかストーリーを目当てにして
この作品を見るとなると、
私のように「なんだこりゃ」と思う羽目になるはずです。
祖母から受け継いだぬかどこの話も、
ぶっちゃけ、受け継いだというだけで終わります。
(一応、倫子がお漬け物を出すシーンがあるので、
それはそのぬかどこを使ったものなんだろうなと思えますが、
ぬかどこ自体のエピソードは無いです)

私が見たDVDには予告映像も入っていたのですが、
そこに出てくる印象的な映像(乳搾りとか)が
最後のエンドロールに使われているものだという辺りで、
この作品のどこが駄目なのかが分かると思います。

また、この話は、命の大切さというか、
「私たちは命を頂いて生きている」ことも描いていますが、
かなりずれているなと思わずにはいられませんでした。
勿論、この考え自体は素晴らしいです。
しかし、物語の終盤になって、
この話がいきなり出てくるので、
「え……なんでこういう話になるの?」と驚いてしまいます。
最後にこの話をを持ってくるなら、
倫子の母親との確執だけでなく、
食に対する思いやこだわりもしっかりと描かないと
駄目だと思います。

ルリコがとても可愛がっていたエルメス(豚)を
他でもない自身の提案で結婚式の料理として食べる話は、
死にゆく彼女なりのけじめの表れだと思えますので、
私は好きです。
でも、これを描くなら、
それ相応の下準備をそれまでに映像の中でやらないと
話そのものが浅くなってしまうと思うんです。
最後の鳩にしてもそう。

学生時代の旧友の悪意のある悪戯にしても、
ネタそのものは良いと思うんですが
(食堂が軌道に乗ったところで落とすのは王道展開)
それだけで終わっちゃうのが残念でした。
これに限らず、全般的に話が浅いのが難点だと思います。



次に、タイトルで“食堂”と銘打っていて、
料理を強調しておきながら、
作中で出てくる料理がどれも美味しそうでない点がまずいです。
倫子が作る料理は、最初のパンからして普通の見栄えです。
そしてその後は、ざくろのカレーだったり、
野菜をペースト状になるまで煮込んだ茶色いスープだったり、
いちじくのサンドイッチだったりと、
味の想像ができない料理が振る舞われるんですが、
カレーはパッと見る分にはごくごく普通ですし、
残り二つについては、見た目からして美味しくなさそうなので、
食事系作品の肝である
「観ていると食べたくなる」「お腹が空いてきちゃう」という感想が
全く生じません。
お客さんは倫子の料理をとても美味しそうに食べているので、
作中の設定では「美味しい」ことになっているんでしょうが、
見ている私には、それがどう美味しいのかが全く伝わってこないので、
気持ちが全く乗らないんです。
常に喪服を着ているお妾さんに出される
フランス料理っぽい洋食ですら、
美味しそうに思えないんですから、逆の意味で凄いです。



そして、この作品は“大人の女性向けの童話”でも目指したのか、
歌で物語を説明したり、アニメ映像や加工系のCG映像の他、
プリクラのようなフレームを使ったりする演出を多用しています。
でもそれらが、他の映像と合っていません。
途中、倫子が料理を淡々と作る映像や、
倫子の食堂や実家の周辺の緑の映像は普通なので、
全部それでいけば良かったのに、
無理に変な方向に頑張ったせいで失敗している気がします。
特に、序盤から歌で進められた件については、
私は疲れましたし、少しも楽しめませんでした。



出ている役者さんは名のある方ばかりなので、
うっかり見たくなる映画ですが、
残念ながら私は楽しめませんでした。
せめてタイトルが違っていたら良かったと思うんですが、
そもそも、このタイトルでないと、
観ようとはまず思わなかったと想像できますので、
ちょっと複雑です。



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2013-05-29 23:13  nice!(0) 
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